シンプルな行動・住まい方のできる「スタジオ+ハウス」
東京・花小金井。駅からほど近い、築30年のマンションに空間デザイナーの水谷晶人さんの事務所兼住宅があります。中廊下を挟んで向かい合った2室をフルリノベーションし、ご夫婦で暮らしています。
コンセプトは、シンプルな行動・住まい方のできる「スタジオ+ハウス」。以前の住まいに暮らしにくさを感じていた水谷さん。ライフスタイルを徹底的に検証し、行動や家具、設備、道具のひとつひとつに居場所を設定することで、ストレスのないスマートな住まいを実現しました。
1室はダイニングキッチンと設計事務所、もう1室にリビングと寝室、収納、バス・トイレを配置。壁をなくし、床の高さを変えて緩やかにゾーニングしています。
眠くなったらすぐにベッドに入れるよう、リビングの後ろに寝室を配置。
当初は、オフィスと住まいを別々の部屋で分けてプランニングをしていました。しかし、何度もレイアウトを考える中で、ダイニングキッチンとオフィスを一体にすることを思いついたそうです。
「オフィスにも住まいにも、テーブルとキッチンが必要ですよね。兼用すれば空間を有効的に使えると思い、この形にたどり着きました。妻もこの家をとても気に入ってくれています」と水谷さんが嬉しそうに話します。
コミュニケーションが自然と生まれるキッチン
ダイニングキッチンは、こだわりが詰まったスペースです。とくに「目線にこだわった」と語る水谷さん。キッチン部分の床を下げて、調理をする人とイスに座って食事をする人の目線が合うようにしつらえました。
「どこにいても料理をしている妻と目が合うので、コミュニケーションがとりやすいです。目線って大事だなと、ここに住んで改めて思いました」
仕事用デスクの前に備えている仕切り壁の高さもキッチンに立つ人と目線が合うように設計。テリトリーが分かれつつも、空間に一体感をもたらします。
(左)キッチンの床を下げるアイデアは、店舗デザインを数多く手掛ける水谷さんならでは。
(右)元々は、キッチンの天板はステンレスで計画していたそう。木材にしたことでラグジュアリーな雰囲気に。
水谷邸の象徴といえば、ダイニングテーブルが一体となった5.5mのキッチンです。天板には、強度が強く、船底にも使われるイロコを使用しています。素材を決めるにあたり、夫婦で色々なお店を巡ったところ、奥様がこの天板に一目惚れし採用することに。高級感がありつつも、木のぬくもりに癒される、居心地の良いキッチンになりました。
「我が家では、よくホームパーティーをするのですが、キッチンとダイニングテーブルが一体化しているので、調理する人もゲストと会話や食事が楽しめます」
背面の壁面収納も使いやすさに徹底的に追求しています。お皿が見やすいように棚の奥行きを25cmに設定。取り出しやすく、片付けやすいよう、お皿も種類ごとに重ねています。
(左)オフィスとして使用する際は扉を閉め、ニュートラルな状態に。
(右)「どこにあるか一目で分かるので、友人たちも迷わずお皿が取り出せます」と水谷さん。
アートピースのような佇まいの水栓
打ち合わせの際、生活感を見せたくないことから、シンクをフタで隠せるようにしました。けれども、水栓は露出したままになります。そこで選ばれたのが、グローエの「ミンタ」です。
「計画の時から、ミンタしか考えていませんでしたね。プロポーションとサイジング、空間に対するボリューム感がこのキッチンに合うと思いました。ミニマルで洗練されているデザインが気に入っています。
太さや吐水口の形状もよく考えられていますよね。水栓としての完成度は誰もが認めるところではないでしょうか」
グローエを代表するキッチン水栓「ミンタ」。機能性がありながらも、どのような空間にもなじむシンプルかつモダンなフォルムで、世界中の方に愛されているシリーズです。色やスパウトの形状、機能に至るまで多彩なラインアップの中から、お好みの仕様をお選びいただけます。
フタを開けると使いやすそうなシンクが現れ、途端にテーブルがキッチンへと様変わりする。
「住環境で住まい方や気持ち、家族の関係性も変わります。この家に暮らしはじめてから、妻とより良好な関係を築けました」と水谷さん。
とても仲良しな水谷さんご夫婦。談笑しながら、こだわりのキッチンで食事をしている姿が目に浮かびます。