光と植物と天然素材に囲まれた静穏な住まい
住宅街にある細い路地を歩いていくと、たくさんの植物に囲まれた白い家にたどり着きます。ここは、ディンプル建築設計事務所を主宰する堀泰彰さんのご自宅。社員寮として使われていた築62年の木造住宅をフルリノベーションし、奥様と愛猫と暮らしています。
建築士の堀泰彰さんと愛猫のちょこちゃん。
四方を住宅に囲まれている堀邸。光や風、周辺からの視線の入り方を検証し、最適な開口部の位置やサイズを導き出すことで、開放的な住まいが完成しました。
「私は外の環境から断裂するのではなく、外を感じていたいなと。お客様の住まいを設計する際も、外とのつながりを意識しています」と堀さん。
リビングに一歩足を踏み入れると、目の前には緑豊かな庭が広がり、吹き抜けから柔らかな光が降り注ぎます。ここが住宅街であることを忘れてしまうほど静穏な雰囲気です。
素材の質感や表情にこだわったという堀さん。元々あった柱や梁はサンダーで磨き柿渋を塗り現しに。床には、表面に凹凸加工を施した無垢のオーク材を採用しました。村野藤吾さんがデザインしたコーヒーテーブルや真鍮のランプ、鹿の剥製などが空間のアクセントになっています。
(左)キッチンからの眺め。森の中にいるような気分に浸れる。家具や照明も堀邸のためにつくられたかと思うほど、溶け込んでいる。
(右)吹き抜けを見上げた先にはシカの剥製が飾られていた。この家をやさしく見守っているかのよう。
家族と友人でつくりあげた住まいの顔
堀邸の顔といえば、地層のようなキッチン。空間の中でも一際存在感を放ちます。キッチンカウンターは、土と砂利と石灰を混ぜて上から突き固める「版築」と呼ばれる工法でつくられています。版築は古来より伝わる左官の技法で、万里の長城や法隆寺の塀にも用いられているそうです。
「キッチンにも自然素材を使いたいなと考えていたときに、土が思い浮かびました。土は手でこねますよね。手を使うキッチンと親和性があるなと。塗りのように表面的ではなく、塊感を表現したかったので、版築を採用しました」
18cmほどの厚みの型枠内に、20cmほど土を入れては10cmになるまで突き固める作業を何度も繰り返し、壁を成形していきます。型枠や土の調合は左官職人さんに依頼し、突き固める作業は家族と友人で行いました。
「キッチンは暮らしの中心にあり、毎日触れる場所です。そこを大切な家族と友人たちとつくれたのは嬉しいですね。表情も豊かで、ずっと眺めていても飽きません」と堀さんが微笑みながら話します。
天然素材と自然の原理が生み出す安心でおいしい水
住まいの顔であるキッチンの水栓に選ばれたのは、グローエの「ミンタ浄水器一体型キッチン混合栓」です。存在感がありながらも、シンプルで洗練された佇まいで空間に溶け込みます。
「吐水口のアールの柔らかな表現と、それ以外は主張しすぎていないところが気に入っています。浄水器を別付けすると、どうしてもボリュームが出てしまいますが、この水栓はひとつで完結するため、シンク周りがすっきりしています。しかも、安心した水が飲める。デザインと機能の両面が一体になっているところが良いですね」
佇まいが美しい「ミンタ浄水器一体型キッチン混合栓」。吐水口先端のハンドルを回すだけで整流とシャワーが切り替わる。
「ミンタ浄水器一体型キッチン混合栓」は、グローエを代表するキッチン水栓「ミンタ」のミニマルでタイムレスなデザインを受け継ぎつつ、浄水機能を付加しました。
浄水カートリッジの芯部に使用しているセラミックは、土から生まれて、土に還る天然素材です。セラミックが持つ細孔を活かし、地層を通り抜ける岩清水と同様の原理でろ過します。天然素材と自然の原理を用いた高性能フィルターが、安心でおいしい水を生み出します。
堀邸では、浄水カートリッジの交換頻度は半年に1度*。口に含むものは浄水、洗い物は水道水とで使い分けています。
「水道水よりも水が柔らかい印象があります。手間もかからず、おいしい水が飲めるので重宝しています」
*浄水カートリッジ交換目安:3〜4カ月(10L /日使用の場合)
竣工してから7年が経ち、庭の植物たちは大きくなり、柱や床も味わいある色へと変わってきました。土を重ねていく版築のように、住まいも時を重ねながら育っていきます。