空間を機能的に活かす―シャワールームの魅力
近年、日本のご家庭でもシャワールームの設置が増えています。その人気の理由はどこにあるのかを見てみましょう。
増えているシャワールーム
シャワーユニットとも呼ばれるシャワールームは、海外ではスタンダードな浴槽のないバスルームです。ヨーロッパのホテルなどでよく見かけるシャワールームは、浴槽を中心に考える日本のバスルームとはまた違った快適さがあります。
そんなシャワールームが、日本でも若い世代の住居や二世帯住宅などを中心に増えています。日々の生活習慣において入浴からシャワーにメインシフトしたケースや、浴槽までは必要がない少人数のご家庭、あるいは「もう一つのバスルーム」が欲しいといった大人数のご家庭に人気です。また、ゲストルームのある家、人がよく集まる家でも、ゲスト向けのバスルームとして需要が高まっています。
快適なシャワータイムを過ごすためのセカンドバスルームとして、充実した機能を備えているものもあり、ラインアップも豊富になってきています。
では、シャワールームにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
➤空間を機能的に活用できる
シャワーのみなので、限られたスペースにも設置が可能です。また、シャワールームにすることで、その他の空間を広く使えると考えることもできます。浴槽の使用率が低いという方にとっては、浴槽分のスペースを普段使うリビングやキッチンに回せるのは大きなメリットになるでしょう。
➤セカンドバスルームとして活躍する
二世帯のような家族が多い場合は、お風呂の時間が重なってしまうことも多いもの。このような場合に、もう一つのバスルームとしてシャワールームがあると、お風呂の時間や順番の問題を解決しやすくなります。
➤室内が温まりやすい
寒い時期、広いバスルームは室内が温まるまでに時間がかかってしまいます。一方、シャワールームはシャワーをするのに適した広さになっているため比較的早く温まり、ヒートショックを防ぐことができます。
➤掃除の手間が少ない
浴槽がないため、使った後に壁や床をシャワーで流し、水分をサッと拭き取る程度で掃除を済ませることができます。空間が狭いため換気扇の効きがよく、すぐに乾燥するのでカビも発生しにくいという利点も挙げられます。一般的な浴室に比べて床や壁の面積が少ないという点も、掃除の手間の軽減につながります。
➤介護にも適している
介護が必要な方にとって、バスルームまでの移動は一苦労です。その点、限られたスペースにも設置しやすいシャワールームなら、部屋の近くにつくることもでき、移動が楽になります。
また、一般のバスルームの洗い場は、浴槽サイズに合わせて縦長であるケースが多く、入浴の介助がしにくいという問題があります。シャワールームであれば、正方形のスペースにもできるという点で、介護にも適しているといえるでしょう。
このようにメリットの多いシャワールームですが、次のようなデメリットもあります。
➤将来的に浴槽を追加する場合は工事が必要となる
あくまでセカンドバスルームとして利用している場合は問題ありませんが、将来「浴槽にゆっくりと浸かりたい」と考えるときがきて、いざ浴槽を追加しようとすると、スペースが変わるので、コストもかかり、ある程度大がかりな工事が必要となります。
➤ユニットバスとあまり価格が変わらなくなってしまうことも
カスタマイズしてオプションが重なった場合、浴槽付きのユニットバスと比べて価格が大きく変わらなかったというケースも。その点で、お得感が少ないと考える人もいるかもしれません。
より快適なシャワータイムのための機能が充実しているなど、メリットとコストをふまえて総合的に検討することをおすすめします。
➤疲れが取れにくいと後悔する声も
シャワーだけでは疲れが取れにくいと感じる人も。シャワールームの使い方をしっかりと決めたうえで設置しましょう。
シャワールームを設置するには―タイプや費用、注意点
シャワールームにはさまざまな種類があり、それによって設置費用も異なります。種類や費用、設置の際の注意点などをご紹介します。
シャワールームは、空き空間に、壁や床がセットになったシャワールームユニットの形で単体設置できる「置き型」と、室内にシャワールームのための場所を新しく設けて取付けを行う「組込型」の2種類があります。
置き型は、シャワーヘッドのほかに壁や床、ドアなどがセットになったユニットのことで、部屋のスペースがあればユニットごと設置する形です。現場では組み立てるだけなので、工事期間が短縮でき、費用も組込型に比べ安価におさえることができます。
また、床と壁のつなぎ目部分を一体型に作るため、隙間がなく防水性能が高いというメリットもあります。最近では浴室を断熱材で覆って、保温性の高いものなども出てきました。
組込型は室内で新たにシャワールームのためのスペースを作る分割高になりますが、シャワールーム内が丸見えにならないようなつくりにしたり、壁や床の材質を選んだりと自由度が高くなります。使用環境や条件で自身の希望やこだわりがある場合はこちらのタイプが適しています。
新築、あるいはリフォームで1階に設置を検討するケースで、個性的なシャワールームを選ばれる場合は組込型でもよいでしょう。上階への設置や集合住宅にお住まいの方は、防水に優れた置き型をおすすめします。
一般的には、コスト面や設置環境の条件から、置き型を選ぶというケースが多いようです。
シャワールームの壁や床の形
置き型の壁のタイプとしては、全面ガラス張りの透明や半透明のものがほとんどですが、壁柄や床色のバリエーションを持つメーカーもあります。床自体の形は、円形や六角形のようなおしゃれな形のものもありますが、最も多く選ばれているのは、空間においてレイアウトがしやすい四角のものです。
また、置き型のユニット内容には、鏡や、シャンプー・ボディソープを置くカウンターや収納棚、簡単な腰掛けや手すりなど、さまざまなラインアップがあります。
設置に必要な面積
シャワールームの内部の広さは、半畳ほどから1畳ほどまでが一般的です。設置スペースとしては、0.75坪~1坪となります。同じ接地面積でも内部の構造や設備によって使い勝手は大きく変わるため、実際にショールームで実物を確認し、設計・施工会社の担当者とおさまりの寸法をすり合わせしておくのがベストな方法です。
シャワールーム設置の費用
置き型は、おおむねの目安で40~50万円が相場です。ただし、工事には取付工事の他、給排水管工事や電気配線工事、換気ダクト工事なども必要になるため、現場の環境によって予算が増える可能性も考えられますので、事前に施工を依頼する会社に確認しておくと良いでしょう。
特に、シャワールームの設置場所が、既存の給排水管から離れたところになると、延長工事が必要になり費用がかさむ恐れがあるので、前もって確認することをおすすめします。
組込型は、設置場所の状況や、内装・設備機器などのカスタマイズ内容により費用の振れ幅が大きくなることが見込まれます。見積もりの中で項目や条件ごとの明細金額を提示してもらい、優先順位をつけ、積み上げて予算化していくのが良いでしょう。
シャワールームを設置するときの注意点
注意点として挙げられるのが、水漏れ対策です。特にマンションのような集合住宅や木造住宅では水漏れによるトラブルは大きな問題となるため、入念な対策が必要です。
もう一つ注意しておきたいのが、使用時や排水時の音への対策です。マンションのように階下に人が住む場所や設置場所の下が寝室だった場合は、新たにシャワールームを設置すると音が響いてしまうことも。
防水性・防音性については、必ず、事前に施工会社に相談しておきましょう。また、この点については、万が一不具合があった場合の修理・アフターサービスも合わせて確認しておくと安心です。
シャワールームにひと工夫でホテル仕様にグレードアップ
シャワールームの主役であるシャワーにこだわることで、さらに快適なシャワータイムを実現できます。これは、シャワールームをすでに設置している方にもおすすめしたいグレードアップ方法です。
なかでも、高級ホテルで見かけるようなおしゃれなオーバーヘッドシャワーが人気。手でシャワーヘッドを持ち続ける必要がなく、雨のようにやわらかくシャワーが降り注ぐオーバーヘッドシャワーなら、より一層快適な浴び心地を手に入れることができます。
シャワーを交換する場合は、90分程度の工事で終わるものもあります。既存の水栓から湯水を引いてくる方法であれば大がかりな壁や天井の工事も必要なく、シャワー本体と壁の補強材を取り付け、各部の接続をするだけで完了。
工事費用も比較的お手頃です。シャワーにひと工夫を加え、より快適な理想のシャワールームにしてみてはいかがでしょうか。
手軽に快適なバスタイムを実現するシャワールーム
シャワールームの人気の理由、メリットやデメリット、設置に関する情報をご紹介しました。
シャワールームは少ないスペースで設置でき、セカンドバスルームとしても活躍します。浴槽付きのバスルームとシャワールームを上手に使い分けることで、家族が思い思いに、快適なバスタイムを手に入れることができるのです。
また寝室の近くに設置することで、よりプライベートなリラックス空間になるほか、介護の必要な方向けとしても注目されています。
手軽に快適なバスタイムを実現するシャワールーム。シャワーの交換や室内の形状などの細かい部分も含めて自分好みのシャワールームにしましょう。